デニムジャケットの代名詞「リーバイス」のファーストタイプ(1st)。その無骨な佇まいと歴史的価値から、多くのデニムファンを魅了し続けています。しかし、オリジナルのファーストタイプと復刻版の違いについては、案外知られていなかったりするんですよね。
今回は「リーバイス ファーストと復刻版 違い」について徹底解説します。ヴィンテージの本物と復刻版の見分け方からディテールの違い、さらには各復刻版の特徴まで、独自の調査と資料をもとに細かく紹介していきます。これからジージャンを買おうと考えている方はもちろん、すでにコレクションをお持ちの方にも新たな発見があるはずです!

記事のポイント!
- リーバイスのファーストタイプ(506XX)の歴史と特徴
- 本物のヴィンテージと各種復刻版の見分け方と違い
- 復刻版の種類と各モデルの特徴・魅力
- リーバイスファーストジャケットの選び方と着こなしのポイント
リーバイス ファーストと復刻版の違いを徹底解説
- ファーストタイプ「506XX」は第一世代のGジャンである
- 復刻版には公式LVCとリーバイスジャパン企画がある
- ディテールの違いはボタン数とポケットフラップの有無
- 素材と生地はオリジナルに近い雰囲気が再現されている
- ボタン裏の刻印でファーストと復刻版を見分ける方法
- 復刻版のサイズ感はやや大きめで着丈は短い設計になっている
ファーストタイプ「506XX」は第一世代のGジャンである
リーバイスの歴史において、ジージャン(デニムジャケット)は大きく3つの世代に分けられます。その第一世代が「ファーストタイプ」と呼ばれる506XX(ゴーマルロクダブルエックス)です。
このファーストタイプは1917年以前から製造されていましたが、正式にロットナンバー「506XX」が付けられたのがファーストタイプの始まりといわれています。1957年頃に「セカンドタイプ」と呼ばれる507XXが登場するまでの約40年間、リーバイスのデニムジャケットの顔として親しまれてきました。
ファーストタイプの特徴は何といっても左胸のみに配置された片側ポケット。これは後のセカンドタイプやサードタイプのような両胸のポケットとは一線を画す、ファーストならではの特徴です。また、背中部分に付いたバックルベルト式のアジャスター「シンチバック」も特徴的で、これも後のモデルでは廃止されました。
ファーストタイプには時代によって細かなバリエーションがあり、特に第二次世界大戦中に製造された「大戦モデル」は物資統制の影響で様々な簡素化が行われ、独自の特徴を持っています。これについては後ほど詳しく解説します。
最後に重要なのが、ファーストタイプはデニムジャケットの原点であり、現代のジージャンのルーツともいえる存在であるということ。その歴史的価値から、本物のヴィンテージは高額で取引されるコレクターズアイテムとなっています。
復刻版には公式LVCとリーバイスジャパン企画がある
リーバイスファーストタイプの復刻版は、大きく分けて2つのカテゴリーがあります。
1つ目は「LVC(リーバイス・ヴィンテージ・クロージング)」と呼ばれる、リーバイス本社が手掛ける公式の復刻ライン。これは過去の名作を可能な限り忠実に復刻することをコンセプトとしており、リーバイスが所有する約2万点のアーカイブを参考に制作されています。LVCの506XX復刻版は「70506」というモデルナンバーが付けられています。
もう1つは、リーバイス・ジャパン企画の復刻版。1990年代初頭から2000年代にかけて展開された日本市場向けの特別企画で、「71506」というモデルナンバーで知られています。一部のマニアからは「LVCより前に本格的な復刻を手掛けた」として評価される一方、細部の再現性については賛否両論あります。
さらに特筆すべきは、1990年代後半から2003年にかけてアメリカのバレンシア工場で製造された「バレンシア製」復刻版。ボタン裏に「555」という刻印があることで知られ、アメリカ製の最後の時代を飾るモデルとして高い人気を誇ります。
各復刻版の特徴を表にまとめると以下のようになります。
復刻版タイプ | モデルナンバー | 製造場所 | ボタン裏刻印 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
LVC公式復刻 | 70506 | 時期により異なる | 時期により異なる | 最も再現度が高い |
日本企画初期 | 71506 | 日本 | J02 | ポケットフラップなし |
日本企画後期 | 71506/506XX | 日本 | 刻印なし | フラップ有り、片面赤タブ |
バレンシア製 | 70506 | 米国バレンシア | 555 | ディテール・生地共に高品質 |
リーバイスの復刻版は時代によってディテールや仕様が異なるため、購入する際には自分の求める特徴を持つモデルを選ぶことが重要です。次の見出しでは、それぞれのディテールの違いについて詳しく見ていきましょう。
ディテールの違いはボタン数とポケットフラップの有無
ファーストタイプと復刻版、さらには復刻版同士でも最も目立つ違いはディテールです。特に注目すべきポイントを詳しく解説します。
まず「ボタン数」の違い。オリジナルの大戦モデルは資材節約の観点から4つボタンでしたが、復刻版の多くは5つボタンを採用しています。特に日本企画の71506は5つボタンであることが多く、これがマニアの間では「オリジナル感が薄い」と指摘される原因の一つになっています。一方、バレンシア製のLVC復刻版は正確に4つボタンを再現したモデルもあり、ディテールにこだわる方からの支持を集めています。
次に「ポケットフラップ」の有無。ファーストタイプには時代によって片胸ポケットにフラップ(蓋)がある「フラップあり」タイプと、フラップがなく打ち込まれたリベットが剥き出しになっている「フラップなし」タイプが存在します。特に大戦モデルはフラップなしが特徴的です。
復刻版においては、1990年代の日本企画71506はフラップなしのモデルが多く、2000年代の日本企画はフラップありのモデルが多いという傾向があります。LVCの復刻版は年代ごとの特徴を忠実に再現しており、復刻対象の時代によってフラップの有無が決まっています。
「シンチバック(バックルバック)」のディテールも重要な違いです。オリジナルの初期型には針があり、生地に針を刺し込んでサイズ調整する仕様でしたが、現代の復刻版では安全性の観点から針が省略されていることがほとんどです。これはPL法(製造物責任法)による影響とされています。
そして「赤タブ」のディテールも見逃せません。オリジナルは「BIG E」と呼ばれる全て大文字の「LEVI’S」表記。復刻版も多くがこれを踏襲していますが、日本企画の71506などでは表面的なデザインは似ていても、素材の経年変化の再現性には違いがあるようです。
これらのディテール違いを把握することで、自分の求めるファーストタイプがどの復刻版に近いのかを判断する手助けになるでしょう。

素材と生地はオリジナルに近い雰囲気が再現されている
素材と生地の観点からファーストタイプと復刻版の違いを見ていきましょう。これは見た目だけでなく、着心地や経年変化(エイジング)にも大きく影響する重要なポイントです。
オリジナルのファーストタイプは、エクストラ・ヘビー・デニム(XX)を使用した高級版「506XX」と、廉価デニム(No.2デニム)を使用した廉価版「213」の2種類がありました。復刻版の多くは506XXをベースにしていますが、生地の質感や厚みは各メーカーや時代によって差があります。
LVCの復刻版は、以前はコーンミルズ社製の生地を使用していましたが、米国工場閉鎖に伴い現在は日本のカイハラデニムへと変更されています。カイハラデニムはヴィンテージ風に色落ちする特性があり、タテ落ち感も再現されているとの評価もあります。重量は12.7オンス程度と、現代のデニムとしては標準的な厚みです。
一方、1990年代の日本製復刻版「71506」は、当時のデニム知識が限られていたこともあり、オリジナルとは若干異なる印象の生地が使われています。綿糸ではなくポリエステル混合のスパン糸を使用しており、解れにくい特徴があります。これはヴィンテージ感を求める方からすると物足りない点かもしれません。
バレンシア工場製の復刻版(555刻印)は、生地の質感や色落ちの良さで高い評価を得ています。1990年代後半から2003年の間に製造されたこのモデルは、ディテールだけでなく素材面でもオリジナルに近い雰囲気を持っているため、コレクターからの人気が高くなっています。
色落ちの特性も重要な違いです。独自調査の結果、復刻版の中には洗濯後もあまり色落ちしない丈夫なモデルもあれば、オリジナルさながらの経年変化を楽しめるモデルまで様々です。特にLVCの最新モデルは、ワンウォッシュ後も美しいインディゴの色味を保ちながら、徐々にヴィンテージらしい風合いに変化していく特徴があります。
素材選びの際は「ディテールにこだわるか、色落ちにこだわるか」で求める復刻版が変わってくるでしょう。個人的な着用感や経年変化を重視する方には、実際に手に取って確かめることをおすすめします。
ボタン裏の刻印でファーストと復刻版を見分ける方法
リーバイスのファーストタイプと復刻版を見分ける上で最も確実な方法の一つが、ボタン裏の刻印チェックです。これはジーンズやジャケットの真贋判定にも使われる重要なポイントです。
真正ヴィンテージのファーストタイプのボタン裏刻印は、主に以下のパターンが存在します。
- アルファベット1文字(例:K)
- 1ケタ〜3ケタの数字(例:6、16、524)
- 3ケタの数字+アルファベット(例:524M)
- 刻印なし
一方、復刻版のボタン裏刻印は以下のような特徴があります。
- アルファベット+数字(例:J22)⇒日本企画の特徴
- 4ケタの数字(例:4420)
- 「555」刻印⇒バレンシア工場製の証
特に注意すべきは「555」刻印です。これは3ケタの数字であるため一見するとヴィンテージのような印象を受けますが、実はアメリカのバレンシア工場で1996年〜2003年に製造された復刻モデルの証です。この「555」刻印のついた復刻版は「初期のLVC」かつ「最後のアメリカ製」という二つの価値を持つため、非常に人気が高くなっています。
また「J02」などのJ+数字の刻印は、1990年代の日本製復刻版の特徴です。2000年代以降の日本製復刻版では刻印がない場合も多いため、刻印の有無だけでなく、内タグやその他のディテールと合わせて総合的に判断する必要があります。
内タグも重要な判別ポイントです。ヴィンテージのタグは全て英語表記ですが、復刻版や現行品には日本語の表記や電話番号が記載されていることが特徴的です。ただし、内タグは意図的に切り取られていることも多いので、その場合はボタン裏の刻印で判断するのが確実です。
ボタン裏の刻印は一度確認してしまえば簡単にわかる判別ポイントですので、購入前や所有しているアイテムの確認にぜひ活用してみてください。真贋判定だけでなく、どの時代・どの工場の製品かを知る手がかりにもなります。
復刻版のサイズ感はやや大きめで着丈は短い設計になっている
リーバイスのファーストタイプと復刻版を比較する上で、サイズ感も重要なポイントです。復刻版はオリジナルの雰囲気を再現しつつも、現代の体型や着こなしに合わせた微調整が施されている場合もあります。
まず基本的な特徴として、ファーストタイプはワークウェアとしての機能性を重視した「ボックスシルエット」が特徴です。アームホールはゆったりとした設計で、身幅も広めですが、着丈は現代の感覚からするとかなり短めです。これはワークウェアとして活動的に動くことを想定した設計によるものです。
LVCの復刻版は、このオリジナルの特徴を忠実に再現しています。例えば、LVC 506XXの着丈はサイズ38で約56cmと、現代のジャケットと比べると明らかに短いです。しかし身幅は脇下で約57cmとゆったりとしているため、インナーにスウェットなどの厚手のものを着ても余裕があります。
注目すべきは、同じ「38」サイズでも復刻版の種類によってサイズ感が異なる点です。例えば1990年代の日本製71506と2000年代のLVC復刻版では、同じサイズ表記でも実寸に違いがあることがあります。また、LVCの中でも「Tバック」と呼ばれる大きいサイズ(46以上)になると背中の縫製が異なり、よりヴィンテージ感が増すという特徴もあります。
洗濯による縮みも考慮すべき重要なポイントです。リジッド(未洗い)の復刻版は、最初の洗濯で縮むことを前提に設計されています。LVCの場合、洗濯後に身幅で約2cm、着丈で約4cmほど縮むという報告もあります。そのため、購入時はワンサイズ上を選ぶことも検討すべきでしょう。
実際の着用感としては、ファーストタイプの復刻版は短丈のためインナーの丈が見えやすく、着こなしの難易度はやや高めです。しかし、その短さも含めてヴィンテージならではの魅力であり、現代のファッションに取り入れるとスタイリッシュな印象になります。コーディネートについては後ほど詳しく解説します。

リーバイス ファーストと復刻版の選び方とコレクションの深み
- ファーストの大戦モデルは歴史的背景から人気を集めている
- バレンシア工場製「555」刻印の復刻版は希少価値が高い
- 日本製復刻の「71506」は独自の魅力を持つモデル
- リーバイス506XX復刻版の種類と特徴一覧表
- ファーストジャケットの正しい着こなしとスタイリング
- まとめ:リーバイス ファーストと復刻版の違いは価値観と目的で選ぶべき
ファーストの大戦モデルは歴史的背景から人気を集めている
リーバイスのファーストタイプの中でも、特に人気を集めているのが「大戦モデル」と呼ばれる第二次世界大戦中(1941年〜1946年頃)に製造されたモデルです。その歴史的背景と特徴について詳しく見ていきましょう。
大戦モデルの最大の特徴は、戦時中の物資統制の影響を強く受けた簡素化されたディテールです。具体的には以下のような特徴があります。
- 4つボタン設計(通常は5つボタン)
- ドーナツ型ボタン(資材節約のため)
- ポケットフラップなし
- 打ち込まれたリベットが露出
- 片胸ポケットのみの非対称デザイン
これらの特徴は物資不足による制約から生まれたものですが、結果として無骨さと機能美を兼ね備えた独特の魅力を持つデザインとなりました。現代のファッションの観点から見ても、ミニマルでありながら力強さを感じさせるデザインとして高く評価されています。
大戦モデルの歴史的背景も興味深いポイントです。当時、リーバイスは米軍からの依頼でユニフォームや作業着の製造を請け負っており、民間向け製品にも同様の資材制限が適用されていました。そのため、大戦モデルは「アメリカの歴史的瞬間を体現した衣服」としての側面も持っています。
復刻版においても、この大戦モデルをベースにしたものは人気が高く、LVCでは「1944年モデル」として復刻されています。また、前述のバレンシア工場製の一部や日本製の71506なども大戦モデルの特徴を取り入れたデザインが見られます。
ヴィンテージ市場では、本物の大戦モデルは非常に希少で高価格で取引されています。状態の良いものは数百万円で取引されることもあり、一般のユーザーが着用するには敷居が高いのが現実です。その点、復刻版は2〜5万円程度で購入できるため、大戦モデルの魅力を手頃な価格で体験できる選択肢として注目されています。
大戦モデルは単なる「古いジージャン」ではなく、時代背景とデザインが交差した歴史的価値を持つアイテムです。その特別感がコレクターやデニム愛好家を魅了し続けているのです。
バレンシア工場製「555」刻印の復刻版は希少価値が高い
リーバイスの復刻版の中で、特別な位置づけにあるのが「バレンシア工場製」のモデルです。ボタン裏に「555」という刻印があることで識別できるこのモデルは、多くのデニムマニアから高い評価を受けています。
バレンシア工場とは、カリフォルニア州にあったリーバイスの最後のアメリカ国内生産拠点です。1996年から2003年までの間、この工場ではLVCの初期モデルを含む高品質な復刻版が製造されていました。しかし2003年にこの工場も閉鎖され、リーバイスのアメリカ国内生産は完全に終了することになりました。
「555」刻印の復刻版が特別視される理由はいくつかあります。
まず、品質面での評価が非常に高いこと。バレンシア工場製のジージャンは、ディテールの正確さだけでなく、生地の質感や色落ちの美しさにおいても他の復刻版を上回るとの評価があります。特に「色落ちにこだわるならUSA製」という意見は多くのデニム愛好家に共有されています。
次に、「最後のアメリカ製リーバイス」としての歴史的・象徴的価値。グローバル化の波の中でアメリカ国内生産にこだわったラインであり、リーバイスのアメリカンヘリテージを体現した最後の製品群という意味合いがあります。
そして、生産量の少なさによる希少性。バレンシア工場はわずか7年間ほどしか操業しておらず、その間に生産された555刻印の復刻版は数量が限られています。特に状態の良いものはすでに中古市場でも入手が難しくなっています。
価格面では、新品時は4〜5万円程度だったものが、現在では中古市場で10万円以上の価格で取引されることも珍しくありません。特に未使用品や状態の良い個体はさらに高値になる傾向にあります。
ただし、バレンシア製といっても細かな違いがあります。例えば初期のモデルはより忠実にヴィンテージを再現しており、後期のものは若干現代的なアレンジが入っているとの指摘もあります。また、同じ555刻印でも、ファーストタイプ(506XX)、セカンドタイプ(507XX)、サードタイプ(557XX)など、さまざまなモデルが存在します。
バレンシア工場製の「555」刻印復刻版は、今後も価値が上がり続ける可能性が高いアイテムです。デニムの本場アメリカで最後に製造された高品質復刻版という点で、コレクションとしても着用アイテムとしても魅力的な選択肢と言えるでしょう。
日本製復刻の「71506」は独自の魅力を持つモデル
1990年代から2000年代にかけて、リーバイス・ジャパンが企画・製造した「71506」という復刻モデルは、マニアの間では独特の評価を得ているアイテムです。この日本製復刻版の魅力と特徴を掘り下げていきましょう。
71506は、リーバイスの日本法人が独自に企画した復刻版で、ロットナンバーの最初の「7」はリーバイス・ジャパンの企画ものであることを示しています。時期によって細かなバリエーションがありますが、大きく分けると「1990年代前半の初期モデル」と「2000年代のモデル」の2種類に分けられます。
1990年代前半のモデルは、ボタン裏に「J02」の刻印があり、ポケットフラップなしの仕様が特徴です。これは大戦モデルの特徴を取り入れているようにも見えますが、実際には当時のリーバイスジャパンが持っていた情報が限られていたために、細部の再現性が十分でない面もあります。一説によると、廉価版「213」をベースにしたとも言われています。
2000年代のモデルは、ボタン裏に刻印がなく、ポケットフラップありの仕様になっています。さらに片面だけに赤タブが付いており、オリジナルに近い復刻がなされています。内タグには70506という表記があるものの、パッチには71506または506XXという表記があるという特徴があります。
日本製71506の評価は分かれるところです。否定的な意見としては「オリジナルとのディテールの違いが大きい」「生地がタテ落ちしにくい」といった点が挙げられます。一方で肯定的な意見としては「2000年代のモデルはバックルバックや赤タブなどでは米国製よりも再現度が高い」といった評価もあります。
価格面では、当時の新品価格は2〜3万円程度でしたが、現在では状態や年代によって数万円から10万円程度で取引されています。バレンシア製ほどの高騰はしていませんが、着実に価値が上がっているモデルと言えるでしょう。
おそらく71506の最大の魅力は、「日本ならではの解釈を加えた復刻版」という点にあります。完全な再現を目指すLVCとは異なり、当時の日本のデニムカルチャーの文脈の中で生まれた製品であり、それ自体が今や一つの時代を表す「ヴィンテージ」となりつつあるのです。
71506は「完璧な復刻」ではないかもしれませんが、90年代から2000年代初頭の日本のデニムブームを象徴するアイテムとして、独自の価値と魅力を持っていると言えるでしょう。

リーバイス506XX復刻版の種類と特徴一覧表
リーバイスファーストタイプ(506XX)の復刻版は数多く存在し、それぞれに特徴があります。ここでは主要な復刻版の特徴を一覧表にまとめ、それぞれの違いを明確にしていきます。
復刻版の種類 | 製造時期 | 製造国 | ボタン裏刻印 | ボタン数 | ポケットフラップ | シンチバック | 特徴・評価 | 現在の相場 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
LVC 70506 最新モデル | 2010年代以降 | 日本など | なし | 5つ | あり | 針なし | カイハラデニム使用、オリジナルに忠実 | 4〜5万円 |
LVC バレンシア製 | 1996〜2003年 | 米国 | 555 | 4つ/5つ | 年代により異なる | 針なし | 色落ち良好、ディテール精密 | 10万円以上 |
71506 初期モデル | 1990年代前半 | 日本 | J02 | 5つ | なし | 針なし | 廉価モデル213風、ペラペラな生地 | 5〜8万円 |
71506/506XX 後期 | 2000年代 | 日本 | なし | 5つ | あり | 針なし | 片面赤タブ、オリジナルに近い | 4〜7万円 |
S506XXE 大戦モデル限定 | 特別限定モデル | 日本 | 特殊 | 4つ | なし | 針なし | 506着限定の特別復刻 | 希少のため変動 |
それぞれの復刻版について詳しく見ていきましょう。
最新のLVC 70506は、リーバイス本社が手掛ける最も正統な復刻版です。かつてはコーンミルズの生地を使用していましたが、現在は日本のカイハラデニムを採用。オリジナルの特徴をほぼ忠実に再現しており、色落ちの良さでも評価が高いです。サイズ展開も豊富で、46サイズ以上はTバック仕様という特徴もあります。
バレンシア製のLVCは、最後のアメリカ製リーバイスとして名高く、ディテールと生地の質の両面で高い評価を得ています。製造年代によって細かな違いがありますが、全体的に再現度が高く「色落ちにこだわるならUSA製」と言われるほど経年変化も魅力的です。
日本製の71506初期モデルは、ポケットフラップなしの大戦モデル風ですが、ボタン数が5つであるなど細部の違いがあります。生地はやや薄手でペラペラと評される場合もありますが、これもまた独特の魅力となっています。
2000年代の日本製71506/506XXは、片面赤タブやフラップありの仕様でオリジナルに近づけた設計です。バックルバックなどのディテールではUSA製より再現度が高いとの評価もあります。
また、特別なモデルとしてS506XXE「1944年大戦モデル」の506着限定復刻版などもリリースされており、こうした限定モデルはコレクターの間で特に人気が高くなっています。
価格帯は、新品のLVCが4〜5万円程度から、希少なバレンシア製の未使用品だと10万円以上と幅広くなっています。中古市場では状態によって大きく価格が変わるため、購入前にはしっかりとコンディションをチェックすることをおすすめします。
この一覧表を参考に、自分の求めるディテールや予算に合った復刻版を選ぶことで、より満足度の高い購入ができるでしょう。
ファーストジャケットの正しい着こなしとスタイリング
リーバイスのファーストタイプは独特のシルエットを持つため、現代のファッションに取り入れる際には少しコツが必要です。ここでは、ファーストジャケットを格好よく着こなすためのポイントを紹介します。
まず重要なのは「短丈」という特徴を活かすこと。ファーストタイプの最大の特徴は現代のジャケットと比べて明らかに短い着丈です。この特徴を生かすには、以下のような着こなしが効果的です。
- インナーの丈を意識する: 着丈が短いため、インナーがはみ出しやすくなります。タックインするか、あえて適度な長さのインナーをレイヤードするかを考慮しましょう。インナーに着るTシャツをタックアウトする場合は、着丈63cm前後の短めのものを選ぶと全体のバランスが良くなります。
- タックインスタイルを取り入れる: ゆったりとしたTシャツやシャツをタックインすることで、ファーストジャケットの短丈を活かしたスタイリッシュな着こなしができます。特にハイウエストのパンツとの相性が良好です。
- ボトムスはストレートorワイドを選ぶ: ボックスシルエットの上着には、細すぎないボトムスが好相性です。スキニーパンツよりもストレートやワイドシルエットのデニムやチノパンを合わせると、全体のバランスが取れます。
- 重ね着を考慮したサイズ選び: ファーストジャケットは冬場にはスウェットやニットの上から羽織ることも多いので、余裕を持ったサイズ選びをするのが賢明です。特に洗濯による縮みも考慮すると、ジャストサイズではなく1サイズ上を選ぶこともおすすめです。
具体的なコーディネート例としては、以下のようなスタイリングが定番かつ効果的です。
- カジュアルスタイル: 白Tシャツ + ファーストジャケット + 501ジーンズ + ワークブーツという組み合わせは、時代を超えた王道コーデです。特に501と組み合わせると、リーバイスのヘリテージを感じさせるセットアップになります。
- ヴィンテージミックス: チャンピオンのスウェットやセントジェームスのバスクシャツなど、同じく歴史のあるブランドのアイテムと組み合わせると、統一感のあるヴィンテージスタイルが完成します。
- モダンスタイル: あえてドレスシャツやモダンなパンツと合わせることで、古さを感じさせないコーディネートも可能です。ファーストジャケットの無骨さとモダンなアイテムのコントラストが魅力的です。
また、色落ちの進み具合によっても着こなしのイメージは変わります。新品のリジッド状態では硬さと深い色味を活かしたシャープな印象に、色落ちが進んだ状態ではヴィンテージ感を強調したリラックス感のあるスタイリングにと、使い分けるのも一つの楽しみ方です。
ファーストタイプは確かに現代の服と比べるとやや特殊なシルエットですが、それを理解した上で着こなすことで、他にはない個性的かつクラシックなスタイリングが実現できます。自分なりの解釈でファーストジャケットを現代に蘇らせてみましょう。
まとめ:リーバイス ファーストと復刻版の違いは価値観と目的で選ぶべき
最後に記事のポイントをまとめます。
- リーバイス ファーストタイプ(506XX)は1917年以前から製造され、現代のジージャンの原点となっている
- ファーストの特徴は片胸ポケット、シンチバック(バックルバック)、ボックスシルエットの3点が代表的
- 復刻版にはLVC公式ライン「70506」と、日本企画「71506」、バレンシア工場製「555刻印」などがある
- オリジナルの大戦モデルは4つボタン、ポケットフラップなしという特徴があるが、復刻版では5つボタンのものも多い
- 復刻版でも素材や色落ちの特性が異なり、LVCはカイハラデニム、バレンシア製は色落ちが良いと評価されている
- ボタン裏の刻印で判別が可能で、ヴィンテージは1〜3ケタの数字や1文字のアルファベット、復刻版はJ+数字や555が特徴
- 復刻版はオリジナルのサイズ感を再現し、着丈短め・身幅広めのシルエットが基本
- 大戦モデルは物資統制下で簡素化されたデザインが魅力となり、ヴィンテージ市場でも人気が高い
- バレンシア工場製「555」刻印の復刻版は「最後のアメリカ製」として希少価値が高く、市場価値も上昇中
- 日本製「71506」は再現性に賛否両論あるが、日本のデニムカルチャーを反映した独自の価値がある
- 復刻版は用途によって選び分けると良く、ディテール重視なら2000年代の日本製、色落ち重視ならバレンシア製がおすすめ
- ファーストジャケットの着こなしは短丈を活かしたインナーの選び方と、ボックスシルエットに合うボトムス選びがポイント
調査にあたり一部参考にさせて頂いたサイト
- https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11120911176
- https://masagonia.com/archives/%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%81%8C90%E5%B9%B4%E4%BB%A3%E3%81%AB%E5%BE%A9%E5%88%BB%E3%81%97%E3%81%9Flvc506xx%E5%A4%A7%E6%88%A6%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB%E3%81%AE%E3%83%87%E3%82%A3.html
- https://www.leon.jp/fashions/8351
- https://ameblo.jp/alexandernyan/entry-12471300653.html
- https://hurugiblog.com/levis-replica-or-vintage
- https://kurono9620.com/post-7997/
- https://american-casual.net/?p=70
- https://www.levi.jp/men/outerwear/denimjacket/levis%20vintage%20clothing%201936%20type%20i%20%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%20%20organic%20%E3%83%AA%E3%82%B8%E3%83%83%E3%83%89/705060028.html
- https://snkrdunk.com/articles/15692/
- https://fringetalent.com/153722542.phtml