古着ブームの中でも特に人気が高いリーバイス501のヴィンテージ。そのレアな一本を手に入れたいと思っても、本物かどうか、どの年代のものなのか、見分け方がわからずに困っている人も多いのではないでしょうか。リーバイス501は1873年の誕生以来、数々の変遷を経て現在に至るまで、時代ごとに様々なディテールの違いがあります。
この記事では、パッチやタブ、リベット、ステッチなどの細かな特徴から年代を判別する方法や、ヴィンテージモデルの種類と特徴、価値を左右する要素まで徹底解説します。これを読めば、あなたも古着屋で一目で価値あるヴィンテージを見分けられるようになるでしょう。

記事のポイント!
- リーバイス501のヴィンテージを見分けるための基本的なディテールの特徴
- 年代別の主要モデル(501XX、大戦モデル、ビッグEなど)の違いと判別方法
- ヴィンテージの価値を決める要素と相場の目安
- 復刻版との違いと見分け方
リーバイス501のヴィンテージを見分け方と特徴的なディテール
- パッチの種類で年代を見分ける方法は革製と紙製の違いに注目すること
- 赤タブの特徴はビッグEかスモールeかで判断できること
- リベットの種類と位置で年代を特定するポイントは材質と形状にあること
- セルビッジ(赤耳)の有無はヴィンテージ判別の重要な手がかりになること
- ボタン裏の刻印番号は工場や製造年の判別に役立つこと
- ステッチの違いはヴィンテージの時代背景を反映していること
パッチの種類で年代を見分ける方法は革製と紙製の違いに注目すること
リーバイス501のヴィンテージを見分ける上で、最も基本的なポイントの一つがパッチです。パッチとは、ジーンズの後ろウエスト位置に縫い付けられた品質保証書のような役割を持つラベルのことです。
年代によって素材や印字内容が変わるため、パッチを確認することで大まかな製造年代を判断することができます。1957年前後までは革製のパッチが使用されており、それ以降は紙製のパッチに変更されました。
革製パッチの時代(~1957年頃)は、「501XX」という表記があり、”Every Garment Guaranteed”(すべての商品を保証する)という文言が記載されています。これは当時、リーバイスが商品が破れた場合に新品と交換するサービスを行っていたことを示しています。
紙製パッチの時代は、さらに以下のように細分化できます:
- 1955年~1962年:「Every Garment Guaranteed」の記載がある「ギャラ入り」と呼ばれるパッチ
- 1962年~1965年:「Every Garment Guaranteed」の記載がない「ギャラ無し」と呼ばれるパッチ
- 1966年~1967年:ダブルネーム(型番が二つ印字されている)のパッチ
- 1967年~1969年:アルファベット(A, S, F, I など)が印字された「タイプ物」と呼ばれるパッチ
- 1970年代以降:「CARE INSTRUCTIONS INSIDE GARMENT」という文言が追加されたパッチ
独自調査の結果、紙パッチに書かれた情報から年代を判断する際は、印字方法にも注目すると良いことがわかりました。例えば、1970年〜80年代中期は黒字でスタンプ印字、80年代中期以降は赤字の印刷に変わっていきます。
赤タブの特徴はビッグEかスモールeかで判断できること
リーバイス501を他のジーンズと区別するために1936年に考案された「赤タブ」は、ヴィンテージを見分ける上で非常に重要な要素です。赤タブの特徴から年代を判別する方法をご紹介します。
まず、初期の赤タブ(1936年~1952年頃)は「片面タブ」と呼ばれるもので、表面にのみ「LEVI’S」の刺繍があり、裏面は無地でした。1953年からは両面に刺繍が入る「両面タブ」に変わります。
次に注目すべきは「LEVI’S」の「E」の大きさです。1973年までは大文字の「E」(通称:ビッグE)が使用されていましたが、1974年以降は小文字の「e」(通称:スモールe)に変更されました。このため、ビッグEタブが付いているものは1973年以前のヴィンテージと判断できます。
さらに細かく見ると、「V」の字体も年代判別のポイントになります。1966年頃までは左右対称の「V」(均等V)でしたが、1966年頃以降は右側が細い「V」(不均等V)に変わりました。つまり:
- 片面ビッグE(均等V):1936年~1952年
- 両面ビッグE(均等V):1953年~1965年
- 両面ビッグE(不均等V):1966年~1973年
- 両面スモールe(不均等V):1974年以降
さらに、1982年頃からは刺繍からプリント方式に変わっていきます。文字の立体感や糸の光沢の有無で判断できるでしょう。
稀に赤タブではなく、オレンジタブ(1960~70年代の廉価ライン)、白タブ(1970~80年代のデニム以外の素材)、黒タブ(混紡素材用)などが使われていることもあります。これらは通常のラインとは異なる特殊なモデルであることを示しています。
リベットの種類と位置で年代を特定するポイントは材質と形状にあること
リーバイス501の特徴である「リベット」は、1873年にリーバイ・ストラウスとジェイコブ・デイヴィスが特許を取得した技術で、ポケットの角などを金属製の鋲で補強したものです。このリベットの材質や形状、配置などから年代を判別することができます。
最も注目すべきは「隠しリベット」です。1937年から1966年頃までの501XXには、バックポケットの留め方として、表側からはリベットが見えないように覆われた「隠しリベット」が採用されていました。これは座る際にイスを傷つけないための配慮だったとされています。内側を見て隠しリベットがあれば、この時代のヴィンテージである可能性が高いです。
リベットの材質も年代判別の重要なポイントです:
- ~1941年:銅製
- 1942年~1947年:鉄製の銅メッキ(磁石がつく)
- 1947年~1953年:銅製(磁石がつかない)
- 1953年~1962年:鉄製の銅メッキ(磁石がつく)
- 1962年~:アルミ製
形状についても変遷があります。1922年頃までは「頭潰し」と呼ばれる、先端が潰されて平たくなっているリベットが使用されていましたが、その後は丸みを帯びた形に変化しました。大戦モデル(1942年~1946年)の時期には、物資統制のためウォッチポケットのリベットが省略されていたという特徴もあります。
また、リベットの刻印も年代を示す手がかりになります。1890年以降のリベットには「L.S. & Co. – S.F. -」と刻印されていますが、1942年頃までは「o」が小文字、1942年以降は「O」が大文字という違いがあります。1950年頃からはリベットの文字が大きくなっているため、これらの特徴を見分けることでより細かな年代判別が可能です。
もし隠しリベットと通常のリベットどちらもチェックできる場合は、材質や形状の組み合わせからより正確な年代を特定できるでしょう。

セルビッジ(赤耳)の有無はヴィンテージ判別の重要な手がかりになること
セルビッジ(生地の端のほつれ止め処理)は、リーバイス501のヴィンテージを判別する上で欠かせないポイントの一つです。特に白地に赤い糸で施されたセルビッジは通称「赤耳」と呼ばれ、高品質なヴィンテージデニムの証とされています。
セルビッジはジーンズの裾をめくると確認できる、アウトシーム(足の外側の縫い目)の内側に付いています。リーバイスは創業当初から赤耳セルビッジデニムを使用しており、1986年頃までこの特徴が継続していました。つまり、赤耳が確認できるリーバイス501は1986年以前のものと判断できます。
セルビッジの存在は、旧式の力織機(シャトル織機)で織られた証でもあります。この製法は1点1点が技術の高い職人の手作業によって製造されていたため、セルビッジが付くデニムは一般に高価なものとして知られています。現在の大量生産型の製法では、効率化のために生地の両端を切り落とすことが多いため、セルビッジはヴィンテージやプレミアムデニムの象徴となっています。
1980年代以降のリーバイス501は「脇割り」と呼ばれる製法に変わり、セルビッジが消滅しました。そのため赤耳の有無は、1980年代以前か以降かを判別する重要な目安になります。
ただし注意点として、近年はヴィンテージを復刻したプレミアムラインなどでもセルビッジデニムが使われているため、セルビッジの有無だけでなく、他のディテールと組み合わせて総合的に判断することが重要です。赤耳があるからといって必ずしも本物のヴィンテージとは限らないことを覚えておきましょう。
独自調査の結果、1980年〜1986年に生産された赤耳ありの最終期モデルは「赤耳モデル」「脇割りモデル」「ハチマル(80年代の意)」などと呼ばれ、ヴィンテージコレクターの間でも評価が高いことがわかりました。
ボタン裏の刻印番号は工場や製造年の判別に役立つこと
リーバイス501のトップボタン(一番上のボタン)の裏側には、数字やアルファベットが刻印されています。この刻印は生産工場を特定するための識別番号といわれており、ヴィンテージの年代を判別する上で非常に重要な手がかりとなります。
刻印の特徴は年代によって以下のように変化しています:
- 1桁の数字・アルファベット(50年代〜70年代): 主なものとして「A」「D」「E」「F」「J」「K」「L」「O」「S」「W」「2」「4」「5」「6」「8」などがあります。 特に「16」は50年代初期〜70年代中期頃まで存在していた工場で、この刻印がある「16ボタン」モデルは人気があります。
- 2桁の数字(60年代〜80年代): 「10」「12」「14」「16」「17」「20」などがあります。
- 3桁の数字(80年代〜2000年代初期): アメリカ製であれば「501」「513」「524」「555」など。「555」は1996年から2003年まで稼働していたバレンシア工場(最後のアメリカ製工場)で、特に人気が高いです。 また、生産国ごとに異なる番号が使われており、例えばフランス製は「275」「388」、メキシコ製は「104」「493」「647」「989」などとなっています。
- アルファベット+数字: 復刻版(LVC)などで使用されています。日本企画モデルには「J」が先頭につきます。
- 4桁の数字: 明らかに文字が詰まっており、現行モデルの特徴です。
ボタン裏の刻印だけでは100%確実な年代判別はできませんが、他のディテール(パッチやタブなど)と組み合わせることで、より正確な判断が可能になります。例えば、1桁の数字やアルファベットの刻印があり、かつビッグEの赤タブが付いていれば、50年代〜70年代初期のヴィンテージである可能性が高いと判断できます。
また、アメリカの製造工場は2003年に一旦すべて閉鎖されたため、それ以前の「Made in USA」表記とボタン裏刻印の組み合わせは、年代判別の重要な情報源となります。
ステッチの違いはヴィンテージの時代背景を反映していること
リーバイス501のステッチは、時代によって様々な変化が見られ、年代判別の重要な手がかりになります。特に注目すべきなのは、バックポケットの「アーキュエイトステッチ」とトップボタン周辺の「Vステッチ」です。
アーキュエイトステッチ(バックポケットの弓型ステッチ)は、1873年にバックポケット裏の補強布を留めるために考案されました。その特徴的な形状から、1943年に商標登録されています。時代による変化を見てみましょう:
- 1873年〜1943年頃:1本針による「カモメステッチ」と呼ばれる手法。左右非対称で、線の角度に個体差が大きい。
- 1942年〜1945年(大戦中):物資統制のため、ステッチの代わりにペンキでプリントされた「ペンキステッチ」が使用された。
- 1946年以降:2本針によるステッチに変更。中央で交差する「ダイヤモンドステッチ」が特徴。
トップボタン付近のステッチも重要なポイントです:
- 1936年〜1968年頃:「Vステッチ」と呼ばれる、トップボタン脇に施されたV字型のステッチ。
- 1968年以降:2本の平行ステッチに変更。
また、バックポケット裏のステッチと裾のステッチも年代を判別する際の参考になります:
- 〜1977年頃:バックポケット裏は「シングルステッチ」(通称:66前期モデル)
- 1977年以降:「チェーンステッチ」に変更(通称:66後期モデル)
裾のステッチについても、古いモデルは「チェーンステッチ」が使われていましたが、製造技術の変化によって「ロックステッチ」に変わっていった時期があります。
内股の縫製も重要な判別ポイントで、内股が1本針で縫われている「内股シングル」は1986年以前のヴィンテージモデルの特徴です。それ以降のモデルは内股が2本針になっています。
これらのステッチの違いは、当時の技術的制約や物資事情、効率化などの時代背景を反映しています。例えば、Vステッチが施されていた時代は、ミシンに返し縫い機能がなかったため、このような縫製手法が採用されていました。
ステッチの状態も価値に影響します。ヴィンテージでは状態によってステッチの糸が切れていることもありますが、きれいにステッチが残っているものは希少価値が高いとされています。

リーバイス501のヴィンテージ見分け方と年代別モデルの特徴
- 501XXモデル(1947年〜1966年)の特徴は隠しリベットとVステッチにあること
- 大戦モデル(S501XX)の特徴は物資統制による簡素化されたディテールにあること
- ビッグEモデル(1966年〜1973年)の見分け方は赤タブとパッチに注目すること
- 66モデル(1973年〜1979年)の前期と後期の違いはステッチとパッチで判断できること
- 赤耳モデル(1980年〜1986年)はセルビッジデニムの最終期として価値が高いこと
- リーバイス501ヴィンテージの相場と価値を決める要素は状態と希少性にあること
- まとめ:リーバイス501のヴィンテージ見分け方は細部のディテールに注目することが重要
501XXモデル(1947年〜1966年)の特徴は隠しリベットとVステッチにあること
501XXモデルは、ヴィンテージデニムの世界で「XXモデル」と呼ばれる、リーバイス501の黄金期を代表するモデルです。実際には1890年に501XXという名称が誕生していますが、古着市場で「XXモデル」として扱われるのは主に1947年〜1966年頃に製造されたものを指します。
このモデルの最大の特徴は「完成形のリーバイス」と称されるほど、現代のジーンズに通じるディテールと、ワークウェアを出自とする頑強な作りが絶妙に調和している点です。具体的な特徴を見ていきましょう:
まず、「隠しリベット」が採用されています。これはバックポケットの付け根部分にリベットが使われているものの、表側からは見えないように生地で覆われているディテールです。これは座る際にイスや鞍を傷つけないための工夫で、1937年から1966年頃まで採用されていました。隠しリベットがあれば、高確率で本物のヴィンテージだと判断できます。
次に「Vステッチ」です。トップボタンの脇に施されたV字型のステッチで、1936年から1968年頃まで見られた特徴です。これはミシンに返し縫い機能がなかった時代の名残で、ヴィンテージならではの縫製仕様となっています。
501XXはその製造期間によって前期と後期に分かれます:
- 前期(1947年〜1957年頃):革パッチを使用
- 後期(1957年頃〜1966年):紙パッチに変更
特に1955年〜1962年頃の紙パッチには「Every Garment Guaranteed」の記載があり、これを「ギャラ入り」と呼びます。1962年以降はこの記載がなくなり「ギャラ無し」と呼ばれています。
リベットにも変化があり、1947年〜1953年は銅製、1953年〜1962年は鉄製の銅メッキ、1962年以降はアルミ製へと変わっています。磁石を当てることで材質を判別できます(銅製には磁石がつかない)。
アーキュエイトステッチ(バックポケットの弓型ステッチ)は1946年より2本針になり、中央で交差するダイヤモンドポイントが特徴的です。
これらの特徴を複合的に確認することで、本物の501XXかどうかを判断できます。501XXは希少価値が高く、良好な状態のものは数十万円以上の価格がつくこともあります。復刻版とは異なる独特の風合いと歴史的価値を持つため、デニムコレクターに特に人気があります。
大戦モデル(S501XX)の特徴は物資統制による簡素化されたディテールにあること
1942年〜1946年に製造されたリーバイス501は「大戦モデル」あるいは「World War II(WWII)モデル」と呼ばれています。第二次世界大戦下のアメリカでは物資統制が行われ、ジーンズも例外ではなく、様々な仕様の簡素化が義務づけられました。
大戦モデルの最も特徴的な点は、通常の「501XX」という品番の頭に「S」が付いている点です。この「S」は「Simplified(簡素化された)」を意味し、戦時統制下の特別モデルであることを示しています。パッチには「S501XX」と表記されています。
具体的な簡素化された特徴を見ていきましょう:
- コインポケットのリベットが省略されている点 創業以来、コインポケットは金属リベットで補強されていましたが、戦時物価統制局の通達により省略されました。大戦モデルだけに見られるレアな特徴です。
- バックポケットのアーキュエイトステッチがペンキに変更された点 アーキュエイトステッチも物資統制の対象となり省略されました。代わりにステンシルペイントでステッチを描くという対応がとられましたが、洗濯で消えてしまうため、現存するものは無地になっていることが多いです。
- 赤タブの刺繍が片面のみである点 1936年に初採用された赤タブですが、大戦モデルでは表面にのみ文字があり、裏は無地という「片面タブ」の特徴があります。
- 月桂樹ボタンやドーナツ型ボタンの使用 フロントボタンにも物資統制の影響が表れており、通常のボタンではなく市販の月桂樹が刻印されたボタンや無地のドーナツ型ボタンが使われることがありました。
- フロントボタンの数が減少 通常より少ないボタン数のフライフロントも大戦モデルの特徴です。
- 代用素材のポケット裏地 軍用のヘリンボーンツイルやチェックのシャツ地で代用されたポケットの裏地も見られます。
これらのディテールは戦時中の物資不足を反映したものであり、大戦モデルならではの歴史的価値があります。一方で、大戦モデルでは逆に生地のオンスが上がったという説もあります(12.5オンスから13.5オンスへ)。これは簡素化による品質低下を防ぐためだったとされていますが、近年はこれが誤情報だったという説もあり、真偽は明確ではありません。
大戦モデルは製造期間が短く、特殊な歴史的背景を持つため、コレクターの間で極めて希少価値が高いモデルです。近年では数百万円の値がつくこともあるほど貴重なアイテムとされています。
ビッグEモデル(1966年〜1973年)の見分け方は赤タブとパッチに注目すること
1966年〜1973年に製造されたリーバイス501は「ビッグEモデル」と呼ばれ、その名の通り赤タブに刺繍された「LEVI’S」の「E」が大文字であることが最大の特徴です。このモデルは501XXの後継として登場し、現在でも高い人気を誇っています。
ビッグEモデルを見分けるための重要なポイントは、以下の通りです:
まず、赤タブの特徴に注目します。「LEVI’S」の「E」が大文字であることはもちろん、「V」の字形にも特徴があります。1966年頃から「V」の形状が変わり、左右対称から右側のみ細字になる左右非対称のデザインになりました。つまり、大文字「E」+左右非対称「V」の組み合わせがビッグEモデルの特徴的なディテールです。
パッチの特徴も重要です。ビッグEモデルのパッチは紙製で、それまで501XXの末尾にあった「XX」の表記が消え、シンプルに「501」と表記されるようになります。さらに特徴的なのは、パッチの「501」の表記の前後や上部に何らかの文字が入らないシンプルな表示になっている点です。この特徴は、この時代のビッグEモデルだけに見られます。
トップボタン周辺のステッチにも変化がありました。それまでのVステッチから、2本の平行ステッチに変更されています。もしパッチや赤タブが欠損している場合、このステッチパターンを確認することで年代判別の手がかりになります。
トップボタン裏の刻印も判別の目安になります。ビッグEモデルでは「2」「4」「6」「8」「16」などの数字が刻印されていることが多いです。これは生産工場の識別番号と言われています。
リベットはアルミ製の被せリベットに変更され、隠しリベットはなくなり、バータックという縫製技術による補強に変わっています。
ビッグEモデルは、色落ちにこだわりながらも比較的手に入りやすい価格帯で楽しめるヴィンテージとして、デニム初心者からも人気があります。価格は状態や特徴により大きく変わりますが、良好なコンディションのものでも20万円前後から手に入ることがあり、501XXよりも入手しやすいモデルです。
また、ビッグEモデルは「前期」と「後期」に分けられることもありますが、公式な区分ではなく、コレクターの間での慣習的な分類です。一般的に紙パッチの細かなデザイン変更やステッチの違いなどが区分の目安となっています。
66モデル(1973年〜1979年)の前期と後期の違いはステッチとパッチで判断できること
1973年から1979年頃に製造されたリーバイス501は「66モデル」または「ロクロクモデル」と呼ばれています。この名称は、右側のバックポケットに取り付けられていたフラッシャー(紙ラベル)に記載された「©1966」の表示に由来しています。ただし、これは1966年に誕生したという意味ではなく、ラベルのデザインが著作権登録された年を示しています。
66モデルは「前期」(1973年〜1976年)と「後期」(1977年〜1979年)に分けられ、それぞれ特徴が異なります。その違いを詳しく見ていきましょう:
【66前期モデル(1973年〜1976年)の特徴】
- パッチの特徴:紙パッチのロットナンバーの上に「CARE INSTRUCTIONS INSIDE GARMENT」(衣類の内側に取扱表示)という文字が黒のスタンプで押されています。
- バックポケットのステッチ:バックポケット入口の折り返し部分がシングルステッチです。これは縦落ちという特徴的な色落ちを生み出す要因とされています。
- 内タグの特徴:内側に付いている取扱い表示タグの最下段に記載されている生地の収縮率が8%です。
- トップボタン裏の刻印:例外もありますが、多くの場合「6」と刻印されています。これは生産工場の識別番号とされ、「66モデル」の名前の由来ではありません。
- 色落ちの特徴:前期モデルは縦落ち(タテ落ち)と呼ばれる、縦方向に線が入るような色落ちが特徴で、色合いにも深みがあります。
【66後期モデル(1977年〜1979年)の特徴】
- パッチの特徴:「CARE INSTRUCTIONS INSIDE GARMENT」の文字がスタンプではなく印刷に変わっています。
- バックポケットのステッチ:シングルステッチからチェーンステッチに変更されています。このステッチの変更が色落ちの違いにも影響しています。
- 内タグの特徴:取扱い表示タグの生地収縮率が10%に変わっています。
- 色落ちの特徴:後期モデルはまだらな色落ちが特徴で、前期ほど縦落ちが明確ではありません。
66モデルはヴィンテージの中でも比較的流通量が多く、コンディションの良いものも見つけやすいため、ヴィンテージデニム入門としておすすめのモデルです。特に前期モデルはヴィンテージらしいクラシカルな雰囲気と独特の色落ちが楽しめるため人気が高く、後期モデルよりも価格が高い傾向があります。
66モデルはヴィンテージデニムのコアなファンからは「最後のヴィンテージ」とも呼ばれることがあり、それ以降のモデルはヴィンテージとしての価値が下がるという見方もあります。しかし、これは厳密な定義ではなく、個人の好みや市場の評価によるところが大きいでしょう。
赤耳モデル(1980年〜1986年)はセルビッジデニムの最終期として価値が高いこと
1980年から1986年頃に製造されたリーバイス501は、「赤耳モデル」「脇割りモデル」「ハチマル(80年代の意)」などと呼ばれることがあります。このモデルの最大の特徴は、リーバイスがセルビッジデニム(赤耳)を使用した最後の時期のモデルであることです。
セルビッジ(生地の端のほつれ止め)、特に白地に赤い糸で施された「赤耳」は、高品質なデニムの証とされています。リーバイスは創業当初から赤耳セルビッジデニムを使用していましたが、1986年以降は生産効率を上げるために「脇割り」と呼ばれる製法に変更し、セルビッジデニムの使用を終了しました。
赤耳モデルの主な特徴は以下の通りです:
- 赤耳セルビッジ:裾をめくると見える外側の縫い目(アウトシーム)の内側に、白地に赤い糸で施されたセルビッジがあります。これは旧式の力織機(シャトル織機)で織られた証であり、高品質なデニムの象徴です。
- スモールeタブ:赤タブの「Levi’s」の「e」が小文字になっています。これは1974年以降の特徴で、それ以前の「LEVI’S」(ビッグE)とは区別されます。
- パッチデザイン:紙パッチに「CARE INSTRUCTIONS INSIDE GARMENT」の表記があり、印刷されています。
- 内タグ:内側のタグには製造年月や工場番号が記載されており、これによって正確な製造時期を特定できます。
- ボタン裏の刻印:多くは3桁の数字が刻印されています。アメリカ製であれば「501」「513」「524」などです。
赤耳モデルは、セルビッジデニムの最終期として、ヴィンテージデニム愛好家の間で価値が認められています。特に1980年代前半のモデルは、まだ70年代のモデルに近い特徴を持っていることもあり、より高い評価を受けることがあります。
色落ちの特性も魅力の一つで、この時代のデニムは縦落ちと呼ばれる縦方向の線が入るような色落ちをする傾向があります。これはヴィンテージデニム特有の風合いを楽しめる特徴です。
価格帯は状態や特徴によって大きく変わりますが、良好なコンディションのものでも数万円から十数万円程度で見つけられることが多く、より古いヴィンテージモデルと比べると比較的手に入りやすい価格帯です。
ただし、この時期のモデルがヴィンテージとして認められるかどうかは、コレクターによって意見が分かれることもあります。一般的には1986年の赤耳最終モデルまでをヴィンテージとする見方が多いですが、中には66モデル(1979年まで)を最後のヴィンテージとする考え方もあります。
リーバイス501ヴィンテージの相場と価値を決める要素は状態と希少性にあること
リーバイス501のヴィンテージモデルは、その年代や状態、特徴によって価格が大きく異なります。ヴィンテージ501の相場と価値を左右する要素について詳しく見ていきましょう。
まず基本的な考え方として、リーバイス501のヴィンテージは「古ければ古いほど、状態が良いほど価値が高い」傾向があります。特に未使用品やデッドストック(販売されず保管されていたもの)は、プレミアが付くことがほとんどです。
年代別の相場の目安は以下の通りです(状態や特徴により大きく変動します):
- 1900年代初期:数百万円〜(極めて希少)
- 大戦モデル(1942〜1946年):50万円〜数百万円
- 47モデル(1947〜1952年):30万円〜100万円以上
- 50〜60年代の501XX:20万円〜80万円
- ビッグEモデル(1966〜1973年):10万円〜50万円
- 66前期モデル(1973〜1976年):5万円〜20万円
- 66後期モデル(1977〜1979年):3万円〜15万円
- 赤耳モデル(1980〜1986年):2万円〜10万円
特に高値が付くケースとして、2002年にはリーバイス社が1890年代の501XXを約750万円で買い取ったという記録もあります。
価値を決める重要な要素としては、以下のようなものが挙げられます:
- デニムの色:基本的に色が濃い物(色落ちしていない物)の方が査定価格が高くなります。色落ちの仕方も重要で、美しい縦落ちを見せるものや独特の風合いを持つものは評価が高くなります。色残りの割合で表現されることもあり、「10割」を未使用状態として、何割残っているかで評価されます。
- ダメージの有無:穴やリペア(修繕)がないオリジナルの状態が最も価値が高いです。特に股部分や膝のダメージは頻繁に見られるため、これらがない状態は希少です。
- 希少性のあるディテール:特定の時代にしか見られないディテール(隠しリベット、片面タブ、ペンキステッチなど)があると価値が上がります。特に大戦モデルの特殊な仕様は、歴史的価値も含めて高値がつきます。
- サイズ感:特に古いヴィンテージは小さいサイズが多いため、大きめのサイズ(W34以上など)は希少性があり価値が高いことがあります。
- 各ディテールの保存状態:パッチやタブ、リベット、ステッチなどの特徴的な部分が原型をとどめているかどうかも重要です。
なお、リーバイス501のヴィンテージは日本で特に人気が高く、1970年代ごろから日本のバイヤーが積極的に古着を買い付けていたため、良質なヴィンテージが日本に多く集まっています。近年は東南アジアなど他の地域でもヴィンテージブームが起きているため、日本市場への注目も高まっており、価値は上昇傾向にあります。
復刻版(LVC)との価格差も大きく、本物のヴィンテージは復刻版の数倍から数十倍の価格がつくことも珍しくありません。ただし、コンディションや特徴によって価格は大きく変わるため、購入や売却を検討する際は専門店での査定を受けることをおすすめします。

まとめ:リーバイス501のヴィンテージ見分け方は細部のディテールに注目することが重要
最後に記事のポイントをまとめます。
- リーバイス501のヴィンテージは年代によって細部のディテールが異なり、それが見分け方の鍵となる
- パッチの種類(革製か紙製か)や印字内容で大まかな年代を判断できる
- 赤タブの特徴(片面か両面か、ビッグEかスモールeか、Vの形状)は重要な年代判別ポイントである
- リベットの種類(隠しリベットの有無、材質、形状)も年代特定の重要な手がかりとなる
- セルビッジ(赤耳)の有無は1986年以前かどうかを判断する目安になる
- ボタン裏の刻印番号は工場や生産国の判別に役立ち、1桁は古いモデルである可能性が高い
- ステッチの違い(Vステッチ、アーキュエイトステッチ、バックポケット裏)も年代を反映している
- 501XXモデル(1947〜1966年)は隠しリベットとVステッチが特徴的で、高い価値がある
- 大戦モデル(S501XX)は物資統制による簡素化されたディテールが特徴で、希少価値が極めて高い
- ビッグEモデル(1966〜1973年)は赤タブの「E」の大きさとパッチデザインが特徴である
- 66モデル(1973〜1979年)は前期と後期でステッチとパッチの違いがあり、前期は縦落ちが美しい
- 赤耳モデル(1980〜1986年)はセルビッジデニムの最終期モデルとして価値がある
- リーバイス501ヴィンテージの価値は状態と希少性によって決まり、古いほど高価になる傾向がある
調査にあたり一部参考にさせて頂いたサイト
- https://www.leon.jp/fashions/6526
- https://kanteikyoku.jp/store/ichikawa/news/446581/
- https://jamtrading.jp/blogs/jam/1020444/
- https://kaitorisatei.info/bwn/how-to-levis-vintage
- https://jamtrading.jp/blogs/jam/12047433/
- https://note.com/vintajin/n/n943224780ae4
- https://hurugiblog.com/levis501
- https://oceans.tokyo.jp/article/detail/45352
- https://www.pinterest.com/pin/207024914096452117/
- https://www.eleonedance.org/praisewinning/heckling/289855302