ヴィンテージデニムの世界では、リーバイスのアイテムは王道中の王道。特に「パッチ」と呼ばれる腰部分のラベルは、そのジーンズがいつ頃作られたものなのかを知る重要な手がかりになります。中でも「紙パッチ」は1955年頃から採用され始め、年代によって様々な特徴を持っているため、コレクターやデニム愛好家の間で重要な年代判別のポイントとなっています。
今回は、リーバイスの紙パッチに焦点を当て、その歴史的背景や年代ごとの特徴、見分け方などを詳しく解説します。革パッチから紙パッチへの移行理由、ギャラ入り・ギャラなしの違い、ダブルネームやタイプ物と呼ばれる特殊なパッチなど、マニアックな情報もたっぷりとお届けします。さらに、パッチだけでなく赤タブやボタン裏刻印、内タグといった他の要素と組み合わせた総合的な年代判別方法まで、この記事を読めば、あなたも古着屋でヴィンテージリーバイスを見つけた時に、その年代を推測できるようになるでしょう。

記事のポイント!
- リーバイスの紙パッチが導入された理由と1955年から現在までの変遷
- 年代別の紙パッチの特徴と見分け方(ギャラ入り、ギャラなし、ダブルネーム、タイプ物など)
- 紙パッチと他の特徴(赤タブ、ボタン裏刻印、内タグなど)を組み合わせた総合的な年代判別法
- 工場番号や特殊な紙パッチを持つレアモデルの特徴と価値
リーバイスの紙パッチから年代を知る完全ガイド
- 紙パッチとは革パッチに代わって1955年頃から使用された素材
- 紙パッチが採用された理由は乾燥機の普及による革パッチの縮みを防ぐため
- 紙パッチの時代別特徴から年代判別が可能
- ギャラ入り紙パッチは1955年~1962年頃の特徴
- ギャラなし紙パッチは1962年~1965年頃の特徴
- ダブルネームは1966年~1967年頃の特徴的なパッチデザイン
紙パッチとは革パッチに代わって1955年頃から使用された素材
リーバイスのジーンズやジャケットには、右腰部分に「パッチ」と呼ばれるラベルが付いています。このパッチには、製品の型番やサイズなどの情報が記載されており、ヴィンテージアイテムの年代判別において非常に重要な役割を果たしています。
リーバイスのパッチは、素材によって大きく「革パッチ」「紙パッチ」「布パッチ(リネンパッチ)」の3種類に分けられます。その中でも「紙パッチ」は、1955年頃から使用され始めたもので、それまで主流だった革パッチに代わるものとして登場しました。
紙パッチは、その名の通り紙でできており、色はベージュや茶色を基調としています。表面には「LEVI STRAUSS & CO.」という社名や「QUALITY CLOTHING」といった文言、そして製品のロットナンバー(501XXなど)が記載されています。
革パッチと紙パッチは見た目が似ているため、パッチの素材を確認するのが年代判別の第一歩となります。紙パッチは表面がやや平滑で硬く、革パッチのようなしなやかさがありません。古いものになると紙特有の劣化が見られ、端がめくれたり破れたりしていることも多いです。
独自調査の結果、紙パッチは革パッチより耐久性に劣るため、古着市場では完全な状態で残っているものは比較的希少とされています。特に、初期の紙パッチは欠損していることが多く、状態の良いものほど価値が高くなる傾向があります。
紙パッチが採用された理由は乾燥機の普及による革パッチの縮みを防ぐため
リーバイスが革パッチから紙パッチへと移行した理由には、当時のライフスタイルの変化が大きく関わっています。1950年代のアメリカでは、家庭用乾燥機が急速に普及し始めました。これにより、洗濯物を乾かす方法が大きく変わったのです。
革パッチは耐久性に優れていましたが、乾燥機にかけると高温によって縮む性質がありました。革パッチが縮むと、周囲の生地を引っ張り、デニムが歪んだり、場合によっては生地に引き攣りが生じたりする問題が発生しました。この不具合の報告が多数寄せられた結果、リーバイス社は対策を講じる必要に迫られました。
1955年頃、リーバイス社は革パッチに代わるものとして「紙パッチ」を採用します。紙パッチは、乾燥機の熱で縮むことがなく、周囲の生地に悪影響を与えないという利点がありました。また、製造コストの面でも革より紙の方が安価であったことも、移行の一因だったと推測されます。
興味深いのは、紙パッチ採用後も革パッチと同じデザインが維持されたことです。この継続性により、消費者は製品の見た目の変化をあまり感じることなく、新しい素材のパッチに馴染むことができました。
紙パッチの導入は、リーバイス社の適応力と革新性を示す好例と言えるでしょう。時代の変化に合わせて製品を改良する姿勢は、長い歴史を持つリーバイスが現代まで愛され続けている理由の一つかもしれません。
紙パッチの時代別特徴から年代判別が可能
リーバイスの紙パッチは、時代によってデザインや表記内容が変化しています。これらの違いを理解することで、ヴィンテージリーバイスの製造年代をかなり正確に推定できるようになります。
紙パッチの年代判別において最も基本的なポイントは、以下の大きな時代区分を押さえることです:
- ギャラ入り紙パッチ(1955年~1962年頃)
- ギャラなし紙パッチ(1962年~1965年頃)
- ダブルネーム(1966年~1967年頃)
- タイプ物(1967年~1969年頃)
- Care刻印パッチ(1970年~)
これらの区分は明確に分かれているわけではなく、特に移行期には異なる特徴が混在している場合もあります。工場によっても採用時期に若干の差があったと考えられています。
また、パッチに記載されている「LOT」の表記にも注目しましょう。501XXの「XX」表記は1966年頃まで使われていましたが、それ以降は単に「501」となります。この違いも年代判別の重要な手がかりです。
さらに、1980年代以降の紙パッチについては、印字の色(黒字か赤字か)や太さによっても年代区分が可能です。例えば、80年代前期~後期はLot番号が黒字のスタンプ、80年代後期~90年代前期はLot番号が赤字の印刷(太字)、90年代前期以降はLot番号が黒字の印刷(太字)という特徴があります。
デニムマニアの間では、これらの特徴を総合的に見ることで、「この紙パッチは1960年代前半のものだ」といった判断が可能になります。次の見出しからは、各時代の紙パッチの具体的な特徴について詳しく解説していきます。

ギャラ入り紙パッチは1955年~1962年頃の特徴
「ギャラ入り紙パッチ」とは、1955年頃から1962年頃まで使用されていたパッチで、「Every Garment Guaranteed」(すべての商品を保証します)という文言が記載されているのが特徴です。デニムファンの間では、この保証文言が入っているパッチを「ギャラ入り」と呼びます。
この時代、リーバイスは製品が破れた場合に新品と交換するというサービスを行っていました。そのため、パッチにはこの保証内容を示す文言が記載されていたのです。この交換サービスは、リーバイスの高い製品品質と顧客サービスへの姿勢を表していると言えるでしょう。
ギャラ入り紙パッチの大きな特徴として、製品番号の後に「XX」という表記があります。例えば「501XX」のようにです。この「XX」は「Extra Exceed」(非常に優れている)の略とされ、高品質なデニム生地を使用していることを示しています。当初は「Extra Extra Heavy」(非常に非常に厚い)の略だったという説もあります。
また、ギャラ入り紙パッチの初期型と後期型では、若干デザインが異なる場合があります。特に移行期(1955年前後)のモデルでは、革パッチの特徴を残しつつ紙パッチに変わったものもあり、これらは非常に希少とされています。
ギャラ入り紙パッチの時代のリーバイスは、現在でも高い人気を誇るヴィンテージモデルです。特に、状態の良い紙パッチが残っているものは価値が高く、コレクターの間で珍重されています。紙パッチは劣化しやすいため、60年以上前のものが完全な状態で残っているのは非常に稀です。
ギャラなし紙パッチは1962年~1965年頃の特徴
1962年頃を境に、リーバイスのパッチから「Every Garment Guaranteed」(すべての商品を保証します)の文言が消えました。これが「ギャラなし紙パッチ」の始まりです。この変更は、おそらく交換保証サービスの終了によるものと考えられています。
ギャラなしパッチには、初期型と後期型があり、それぞれ特徴が異なります。初期型(1962年~1964年頃)のギャラなしパッチは、「Every Garment Guaranteed」が消え、その代わりに中央に小さめの文字で「Made in U.S.A.」という表記が加わりました。
その後、後期型(1964年~1965年頃)になると、表記がさらに変化し、同じ段に「100% COTTON」「Made in U.S.A.」「WPL 423」という3つの表記が並ぶようになりました。「WPL 423」はリーバイス社の繊維製品登録番号です。
ギャラなし紙パッチの時代も、依然として製品番号の後に「XX」の表記が残っています(例:501XX)。この「XX」表記は1966年頃まで続きました。
また、この時代のパッチはギャラ入りの時代と比べると全体的にシンプルな印象になっています。文字の配置も整理され、より現代的なデザインに移行していった時期と言えるでしょう。
ギャラなし紙パッチの時代のリーバイスも、ヴィンテージデニム市場では人気が高く、特に状態の良いものは価値が高いとされています。デニムマニアの間では「紙パッチギャラなし」という呼び方で親しまれ、その独特のデザインと製造年代から高い評価を受けています。
ダブルネームは1966年~1967年頃の特徴的なパッチデザイン
1966年頃になると、リーバイスのパッチに大きな変化が訪れます。それが「ダブルネーム」と呼ばれる特徴的なデザインの登場です。ダブルネームとは、パッチに2つの製品番号が記載されていることから付けられた呼び名です。
この時期、リーバイスは品番の改定を行い、従来の「XX」表記(例:501XX)を廃止しました。しかし、突然新しい品番だけを表示すると消費者が混乱する恐れがあったため、新しい品番(例:501)の左上に小さな文字で旧品番(501)を併記するという工夫がなされました。
例えば、501XXが単に501になる際、パッチには「501」と大きく表記され、その左上に小さく「501」と記載されました。この「501」の左上に「501」という二重表記がダブルネームの由来です。他にも「501-501」「501 501」などと表記されるケースもあります。
ダブルネームの時代は短く、約1年間(1966年~1967年頃)しか製造されなかったため、現存するものは比較的少なく、ヴィンテージマーケットでは希少価値が高いとされています。
また、この時期はリーバイスの歴史においても過渡期にあたり、他の特徴(ボタン、リベット、ステッチなど)も同時に変化していった時期です。ダブルネームパッチを持つリーバイスは、多くの場合「V字ステッチ」や「隠しリベット」といった古い特徴と、新しい特徴が混在しているため、デニムマニアにとって非常に興味深いモデルとなっています。
ダブルネームの特定には、パッチ上部の小さな文字を確認する必要がありますが、古着の場合は経年劣化によって判読が難しいケースもあります。そのような場合は、他の特徴(赤タブやボタン裏刻印など)と合わせて総合的に判断することが重要です。

リーバイスの紙パッチと他の特徴を組み合わせた年代判別
- タイプ物は1967年~1969年頃の特殊なパッチデザイン
- Care刻印パッチは1970年~1980年代の特徴
- 赤タブとの組み合わせで年代判別の精度が向上
- ボタン裏刻印から工場と年代の特定が可能
- 内タグの特徴は1974年以降の年代判別に有効
- 紙パッチの特徴から501モデルの年代を判別する方法
- まとめ:リーバイス紙パッチの年代判別は複数の特徴を総合的に見ることが重要
タイプ物は1967年~1969年頃の特殊なパッチデザイン
「タイプ物」とは、1967年頃から1969年頃にかけて製造されたリーバイスのパッチに見られる特徴的なデザインです。この時期になると、ダブルネームに代わって新しい表記方法が採用されました。
タイプ物の最大の特徴は、製品番号(例:501)の上部にアルファベットが1文字記載されていることです。使用されるアルファベットは主に「A」「S」「F」「I」の4種類で、このアルファベットが何を意味するのかについては諸説あります。
一説によると、これらのアルファベットは製品のランクを表しているとされます。別の説では、出荷先や工場を区別するための記号だったという考えもあります。いずれにせよ、明確な意味は現在も解明されておらず、ヴィンテージデニムの世界では謎の一つとなっています。
タイプ物は「501のAタイプ」「501のSタイプ」などと呼ばれることもあります。例えば、パッチに「501」と記載され、その上に「A」が書かれているものは「501のAタイプ」ということになります。
この時代のリーバイスは、赤タブが「ビッグE」(LEVI’Sの「E」が大文字)という特徴も持っています。そのため、「ビッグE」と「タイプ物」を組み合わせた判断ができれば、年代をより正確に特定できます。
タイプ物も製造期間が短いため、現存するものは比較的少なく、コレクターの間では高い価値を持っています。特に状態の良い紙パッチが残っているものは希少で、アルファベットの種類によっても希少性が異なるとされています。
Care刻印パッチは1970年~1980年代の特徴
1970年頃になると、リーバイスのパッチにまた新たな変化が生まれます。パッチに「CARE INSTRUCTIONS INSIDE GARMENT」(衣類の内側に取り扱い説明があります)という文言が記載されるようになったのです。この特徴から、1970年代のパッチは「Care刻印パッチ」と呼ばれています。
この変更は、消費者に洗濯方法などの取り扱い説明を確認するよう促す目的があったと考えられます。実際、この表記が入ったリーバイス製品には、フロントポケットの内側に洗濯時の収縮率などを記した内タグが付けられるようになりました。
Care刻印パッチにも時代による変化があります。1970年~1980年代中期頃のものは、「CARE INSTRUCTIONS INSIDE GARMENT」の文字が黒で印字されています。一方、1980年代中期以降になると、この文字が赤で印字されるようになりました。
また、製品番号(Lot番号)の印字方法も時代によって異なります:
- 1970年代~1980年代前期: Lot番号がスタンプで黒字
- 1980年代後期~1990年代前期: Lot番号が印刷で赤字(太字)
- 1990年代前期~: Lot番号が印刷で黒字(太字)
この時代になると、製品番号の後ろに「®」(レジスターマーク)が付くようになります。例えば「501®」のような表記です。これは、501が商標登録されたことを示すマークで、比較的新しいモデル(1980年代以降)の特徴となっています。
Care刻印パッチの時代のリーバイスは、現在のヴィンテージマーケットでも比較的手に入りやすい年代とされています。特に米国製モデルは、2003年に米国工場が閉鎖されるまで製造されていたため、様々な状態のものが流通しています。
赤タブとの組み合わせで年代判別の精度が向上
リーバイスの年代判別において、紙パッチだけでなく「赤タブ」と呼ばれるバックポケットの赤いタグも重要な手がかりとなります。紙パッチと赤タブの特徴を組み合わせることで、より正確な年代特定が可能になります。
赤タブの主な年代別特徴は以下の通りです:
- 片面タブ(1936年~1954年頃)
- 表側にのみ「LEVI’S」の文字が刺繍されている
- 裏面は無地
- レジスターマーク(®)がない
- 両面タブ 均等V(1953年~1966年頃)
- 表と裏の両方に「LEVI’S」の文字が刺繍されている
- 「LEVI’S」のVが均等(左右対称)
- レジスターマーク(®)がある
- 両面タブ 不均等V(1966年~1974年頃)
- 表と裏の両方に「LEVI’S」の文字が刺繍されている
- 「LEVI’S」のVが不均等(右側が細い)
- 「E」が大文字(通称「ビッグE」)
- スモールeタブ(1974年~1982年頃)
- 「LEVI’S」の「E」が小文字に変更(「Levi’s」)
- 刺繍タイプ
- プリントタブ(1982年~)
- 「Levi’s」の文字が刺繍からプリントに変更
- 文字に立体感がなく、糸の光沢もない
例えば、紙パッチが「ギャラなし」で赤タブが「両面タブ 均等V」であれば、1962年~1966年頃の製造と推測できます。また、「タイプ物」のパッチで「両面タブ 不均等V(ビッグE)」の赤タブであれば、1967年~1969年頃と判断できるでしょう。
色違いの赤タブ(オレンジタブ、白タブ、黒タブなど)もあり、これらは特定のラインや素材を示しています。例えばオレンジタブは1960~70年代の廉価ライン、白タブはデニム以外の生地に使われるもの、黒タブは混紡素材に使われるものです。
このように、紙パッチと赤タブの特徴を組み合わせることで、年代判別の精度は格段に向上します。古着屋でヴィンテージリーバイスを見る際は、ぜひ両方をチェックしてみてください。

ボタン裏刻印から工場と年代の特定が可能
リーバイスのトップボタン(ウエスト部分のボタン)の裏側には、多くの場合、数字やアルファベットが刻印されています。この「ボタン裏刻印」は、製造工場を示すコードであると考えられており、年代判別の重要な手がかりとなります。
ボタン裏刻印の時代による変化は以下のようになっています:
- 1950~1970年代初期:一桁の数字やアルファベット
- A, D, E, F, J, K, L, O, S, W, 2, 4, 5, 6, 8, 16 など
- 特にアルファベットと「2」の刻印は1950~1970年代の特徴
- 1960~1980年代:二桁の数字
- 10, 12, 14, 16, 17, 20 など
- 16工場は1950年代~1970年代中期まで長期稼働していた工場
- 1980~2000年代初期:三桁の数字
- 273, 501, 513, 515, 522, 524, 527, 529, 532, 544, 552 など
- 5から始まる番号はリーバイス社、6から始まる番号は社外工場
- 555工場はバレンシア工場(1996~2003年、米国最後の工場)
例えば、紙パッチが「ギャラ入り」でボタン裏刻印が「14」であれば、1950年代のテキサス州ウィチタフォールズ工場製と推定できます。また、「Care刻印パッチ」でボタン裏刻印が「555」であれば、1996~2003年のバレンシア工場製と判断できるでしょう。
ボタン裏刻印は経年劣化や摩耗によって見づらくなっていることが多いため、確認が難しい場合もあります。そのような場合は、強い光を当てたり、角度を変えて見たりするとよいでしょう。また、リベットの裏側にも同じ刻印が打たれていることがあるので、そちらも確認すると良いでしょう。
ボタン裏刻印はあくまで目安であり、工場による仕様の差異や移行期の混在もあるため、他の特徴(紙パッチ、赤タブ、内タグなど)と組み合わせて総合的に判断することが重要です。近年では、この刻印を模倣した偽物も存在するため、注意が必要です。
内タグの特徴は1974年以降の年代判別に有効
1974年以降のリーバイス製品には、ポケット内側に「内タグ」と呼ばれるタグが付けられるようになりました。これは先述の「CARE INSTRUCTIONS INSIDE GARMENT」(衣類の内側に取り扱い説明があります)という文言に対応するもので、洗濯方法や収縮率などの情報が記載されています。
この内タグは、特に1970年代以降のリーバイスの年代判別において非常に有効な手がかりとなります。内タグの特徴は時代によって変化しており、以下のような区分が可能です:
- 1974年~1980年代前半
- 数字の羅列が3行に分かれて記載
- 最下行に左から「製造月」「製造年(下2桁)」「工場番号」の順で記載
- 製造年が1桁のみ記載されている場合もある
- 1980年代後半~1991年頃
- 文字量が増え、7行構成に
- 6行目に工場番号、7行目に製造年月が記載
- 製造年は下1桁のみ記載され、製造月と連続して表記
- 1991年~1994年頃
- ペラペラで薄い生地を使用
- 上部に数字、その下に洗濯時の注意点
- 下から2行目に左から「工場番号」「製造月・製造年」「製造番号」の順で記載
- 1995年~2003年
- より明確なデザインに変更
- 製造年月と工場番号が明確に分かれて記載
内タグを確認することで、製造年月や工場番号を直接知ることができるため、紙パッチや赤タブだけでは判断が難しい場合でも、正確な年代特定が可能になります。特に1980年代以降のモデルは、内タグが残っていればかなり正確な製造時期を特定できます。
ただし、内タグも経年による退色や摩耗で判読が難しくなっていることがあります。また、古着市場ではパッチが残っていても内タグが失われているケースも珍しくありません。そのような場合は、紙パッチや赤タブ、ボタン裏刻印などの他の特徴と併せて判断する必要があります。
紙パッチの特徴から501モデルの年代を判別する方法
リーバイスの代表モデルである501は、長い歴史の中で様々な変遷を遂げてきました。紙パッチの特徴と他の要素を組み合わせることで、501の年代をより正確に特定することができます。ここでは、年代別の501紙パッチの特徴と判別のポイントを紹介します。
- 501XX 紙パッチギャラ入り(1955年~1962年頃)
- 「Every Garment Guaranteed」の文言あり
- ロットナンバーは「501XX」と表記
- 赤タブは両面均等V
- ボタン裏刻印は一桁の数字やアルファベット
- 裾はシングルステッチ
- 501XX 紙パッチギャラなし(1962年~1966年頃)
- 「Every Garment Guaranteed」の文言なし
- 中央に「Made in U.S.A.」または「100% COTTON Made in U.S.A. WPL 423」の表記
- ロットナンバーは依然として「501XX」
- 赤タブは両面均等V
- 裾はシングルステッチ
- 501 ダブルネーム(1966年~1967年頃)
- 「501」の左上に小さく「501」と記載
- 「XX」表記が消滅
- 赤タブは両面不均等V(ビッグE)
- Vステッチから平行ステッチへの移行期
- 501 タイプ物(1967年~1969年頃)
- 「501」の上にA、S、F、Iなどのアルファベット
- 赤タブは不均等V(ビッグE)
- 平行ステッチ
- 501 66前期(1970年~1977年頃)
- 「CARE INSTRUCTIONS INSIDE GARMENT」の表記あり(黒字)
- 赤タブはスモールe(Levi’s)
- バックポケット裏はシングルステッチ
- 501 66後期(1977年~1980年頃)
- 「CARE INSTRUCTIONS INSIDE GARMENT」の表記あり(黒字)
- バックポケット裏はチェーンステッチに変更
- 内タグあり
- 501 80年代以降
- 「CARE INSTRUCTIONS INSIDE GARMENT」の赤字化(80年代中期~)
- Lot番号「501」の印刷が赤字太字(80年代後期~90年代前期)
- Lot番号「501」の印刷が黒字太字(90年代前期~)
- 「501®」のレジスターマーク表記
また、赤耳デニム(セルビッジ)の有無も年代判別の参考になります。一般的に1980年代中期以降のレギュラーモデルは赤耳ではなくなりました。ただし、「赤耳」と呼ばれる80年代初期のモデルは例外的に赤耳デニムを使用しています。
これらの特徴を総合的に見ることで、501の年代をかなり正確に特定することが可能です。特に限定モデルやレア度の高いヴィンテージを探している場合は、これらの知識が非常に役立つでしょう。

まとめ:リーバイス紙パッチの年代判別は複数の特徴を総合的に見ることが重要
最後に記事のポイントをまとめます。
リーバイスの紙パッチの年代判別において重要なポイントは、以下の通りです:
- 紙パッチは1955年頃に革パッチから移行し、乾燥機普及による革パッチの縮みを防ぐために採用された
- 紙パッチは「ギャラ入り」「ギャラなし」「ダブルネーム」「タイプ物」「Care刻印」などの時代区分がある
- ギャラ入り紙パッチ(1955年~1962年頃)は「Every Garment Guaranteed」の表記と「XX」表記が特徴
- ギャラなし紙パッチ(1962年~1965年頃)は「Made in U.S.A.」表記や「100% COTTON」表記が特徴
- ダブルネーム(1966年~1967年頃)は製品番号が二重表記されている特殊なデザイン
- タイプ物(1967年~1969年頃)は製品番号の上にA、S、F、Iなどのアルファベットが記載
- Care刻印パッチ(1970年~)は「CARE INSTRUCTIONS INSIDE GARMENT」の表記が特徴
- 紙パッチと赤タブの特徴を組み合わせることで年代判別の精度が向上する
- ボタン裏刻印は製造工場を示すコードで、年代によって一桁、二桁、三桁の数字やアルファベットが使用された
- 1974年以降の製品には内タグが付けられ、製造年月や工場番号が直接確認できる
- 501モデルは紙パッチの特徴に加え、ステッチや赤耳の有無などの要素も年代判別に役立つ
- 移行期には異なる特徴が混在することがあるため、複数の要素を総合的に判断することが重要
- 紙パッチは経年劣化しやすいため、状態の良いものは希少価値が高い
- 米国製リーバイスは2003年に米国工場が閉鎖されるまで製造され、その後は海外生産に移行した
- ヴィンテージリーバイスの判別には、パッチだけでなく赤タブ、ボタン裏刻印、内タグ、ステッチ、リベットなど複数の要素を総合的に見ることが重要
調査にあたり一部参考にさせて頂いたサイト
- https://note.com/vintajin/n/n943224780ae4
- https://shibaken.work/post-2413/2021/2413/
- https://www.vision-himalaya.ch/do/67413984.html
- https://de-suke.com/how-to-distinguish-levis-patch-bottoms
- https://www.leon.jp/fashions/6526
- https://hands-on-jeans.com/blog/2016/04/17/916
- https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10208631810
- https://www.hdhomeo.com/pcmypage?callback=product/review/83705021
- https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10236772975
- https://www.shibata-oysterbar.com/shopdetail/27652987